【NovartisのCAR-T承認、治療費は5,000万円。Kiteは1兆円超で買収】BBブリッジ メールマガジン No.39

2017-09-04  /  メルマガバックナンバー

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   ◆BBブリッジ メールマガジン No.39  2017年9月4日◆
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 既に承認申請段階にありましたNovartisのCAR-T(キメラ受容体T細胞療
法)であるKymriah (CTL019)が、遂に8月30日に米国FDAに承認されました。
 対象は再発性の前駆B細胞急性リンパ芽球性白血病(ALL)である25歳
までの患者です。KymriahはNovartisとペンシルバニア大学との共同開発
として進められました。具体的には患者の血液から採取されたT細胞にレ
ンチウイルスによってCD19を標的としたCAR(キメラ受容体)の導入が行
われます。
 米国におけるKymriahの製造は、ニュージャージー州の専用工場で行わ
れますが、この工場は細胞医薬品Provengeを販売していたDendreon社(
2014年倒産)が保有していた施設を、Novartisが4,300万米ドルで取得し
たものです。
Novartisプレスリリース
   
 以下は米国のニュースサイトからの引用ですが、Kymriahの1回当たり
の治療はおよそ47万5,000米ドル(約5,000万円強)になる見込みです。
 但し、米国の保険機構であるメディケア・メディケイドと協議を進め
ており、治療後1か月以内に効果があった患者のみ費用を徴収するプラン
になる可能性もあります。
bloombergニュース
 
 また、CAR-Tの重要な副作用であるサイトカイン放出症候群について、
特効薬としてCAR-Tの臨床試験で適用外使用されていた抗IL-6抗体アク
テムラ(Roche/中外)も、同日に米国FDAに正式に承認されました。
Rocheプレスリリース
 
 CAR-Tは細胞医薬品市場の最も大きなドライバーになると期待されており、
今回、世界で初めてCAR-Tが細胞医薬品として承認されました。がん種の
適用が増加すれば、ブロックバスターも登場すると期待されています。
 価格について今回は5,000万円という高い価格になりましたが、今後は
開発競争や適用患者の増加などにより、2,000万円前後まで下がると見込ん
でいます(BBブリッジ調査)。
 
 このように大きく注目されているCAR-T開発において、先週もう1つ大き
なニュースがありました。これはGilead SciencesによるKite Pharmaの
買収で、買収の総額は119億米ドル(約1兆3,000億円強)です。
 Kite PharmaはCAR-T開発の中心となっている1社であり、既に承認申請
段階の開発品も保有しています。同社は2009年に設立され、従業員は200名
程度のベンチャーです。このようなベンチャーで承認された製品も持たない
企業が1兆円を超える金額で買収されたのは、医薬品業界においても異例中
の異例のことです。Gilead SciencesはC型肝炎の治療薬で年間1兆円を軽く
超える製品を持っていますが、次の柱になる分野としてCAR-Tに投資したと
考えられます。

Kite社プレスリリース
 
 CAR-T承認とKite買収の2つのニュースを見ると、医薬品業界は明らかに
大きな変革期を迎えていることがわかります。既存の医薬品に加え、細胞
医薬品など新しい技術の積極的な取り込みと、その新しい技術・製品に合
わせた普及方法(保険やプライシング)が更に重要になると考えられます。  

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(5)2016年版 世界の抗体医薬品開発の方向性とビジネス展望

(6)T細胞遺伝子改変療法(CAR-T/TCR)開発の最新動向と将来遠望

(7)世界の予防用ワクチン・予防薬開発の最新動向と将来展望

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【4月13日】市場拡大が続く抗体医薬品の製品化の動向

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