CAR-T/TCRの最新研究開発/ビジネス動向について調査結果を発表

2018-01-29  /  プレスリリース

~実用化が始まった遺伝子改変T細胞療法の方向性は~

調査結果のポイント

  • 遺伝子改変T細胞療法はCAR-Tを中心に開発が進む
  • 遺伝子改変T細胞療法の製造コストにおいて、人件費が最も高い比率を占める
  • 5年後、10年後の遺伝子改変T細胞療法の方向性は!?

 ライフサイエンス・メディカル分野のリサーチ・コンサルティングを専門に行う株式会社BBブリッジ(東京都港区、代表取締役 番場聖)では、がん医療において革新を起こすと期待されている遺伝子改変T細胞療法(CAR-T※1/TCR※2)について、研究開発の最新動向や、企業のビジネス展開の動向、遺伝子改変T細胞療法の方向性について調査・分析を行い、その結果を発表しました。調査結果のポイントは以下の通りです。

1.遺伝子改変T細胞療法はCAR-Tを中心に開発が進む

 現在の遺伝子改変T細胞療法における開発品の種類を調べると、「CAR-T」が73%を占めています。2016年の当社調査時のCAR-Tの比率は58%であったため、遺伝子改変T細胞療法におけるCAR-Tの開発比率が大きく伸びていることがわかります。次いで「TCR」が17%、NK細胞を用いたCARなど「その他」が10%を占めています。遺伝子改変T細胞療法の開発は、今後もCAR-Tが中心になると予想されます。

2.遺伝子改変T細胞療法の製造コストにおいて、人件費が最も高い比率を占める

 BBブリッジでは各種データやヒアリングを基に、自家細胞を用いたCAR-Tの製造コストの内訳を推計しました。自家細胞の場合には計画生産ができないため、総じて製造コストが高い状況です。
 製造コストの中で最も多くかかるのは人件費です。培養や品質管理、製造施設の管理などで多くの人員が必要であり、特に培養工程では熟練した人員が必要となります。また、安定供給を担保するために、必要最低限ではなく、バックアップとして必要以上の人員を揃えておく必要があることも人件費の割合が高い理由です。
 人件費以外にも培養関連費用や品質管理関連費用、輸送費用なども高額です。遺伝子改変T細胞療法の普及には、製造コストの低減が求められます。

3.5年後、10年後の遺伝子改変T細胞療法の方向性は!?

 医療現場における遺伝子改変T細胞療法の方向性について、CAR-TとTCRに分けて以下に記載しました。遺伝子改変T細胞療法市場の中心はCAR-Tであり、今後、数多くの製品が登場し、複数がブロックバスターになることが期待されます。一方、TCRについては開発品数も少なく、ビジネスとして大きくなるにはCAR-Tよりもさらに時間がかかる見込みです。
 今後、実際に遺伝子改変T細胞療法の開発がどのように進み、医療ビジネスとしてどの程度の規模を形成するのか、注目されます。

 なお、本調査は㈱BBブリッジが作成した技術・市場調査レポート「2018年版 遺伝子改変T細胞療法(CAR-T/TCR)開発の最新動向と将来展望(2018年1月31日発刊)」において実施されたものです。詳細についてお知りになりたい方は当該レポートをご参照ください。

本プレスリリースの内容について、無断利用・転載は禁止します。

用語説明

※1 CAR-T
キメラ受容体遺伝子改変T細胞療法(Chimera Antigen Receptor T-cell therapy)とも呼ばれ、がん細胞上の特定の抗原に対するキメラ受容体をT細胞に発現させる。このT細胞を患者に投与することで治療を行うというもの。

※2 TCR
T細胞受容体療法(TCR療法:T Cell Receptor Therapy、もしくはTCR-T)とも呼ばれ、がん細胞上のHLA(ヒト白血球型抗原)とそのHLAに提示された抗原ペプチドに対するTCRをT細胞上に発現させる。このT細胞を患者に投与することで治療を行うというもの。

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