個人向け検査・診断ビジネスの現状と展望に関する調査結果を発表

2015-02-04  /  プレスリリース

調査結果のポイント

  • 個人向け検査・診断ビジネスはプレーヤーや流通経路が多様である
  • 米国の市場は急速に拡大、日本市場の成長は期待できるのか
  • 日本が取り組むべきは規制緩和と革新的技術開発

 メディカル・ライフサイエンス分野のリサーチ・コンサルティングを専門に行う株式会社BBブリッジ(東京都港区、代表取締役 番場聖)では、予防医療・セルフケアに対する関心の高まりによって注目されている個人向け検査・診断ビジネス※1に関し、日米の研究開発動向やビジネスの比較、市場動向や今後の展望・課題について調査・分析を行い、その結果を発表しました。調査結果のポイントは以下の通りです。

※2017年11月13日追記※
BBブリッジでは本レポートの更新版として、「2018年版 予防医療・セルフケア時代の個人向け検査/診断ビジネスの最新動向と将来展望」を2017年11月に発刊しています。最新情報をお知りになりたい方はこちらをご覧ください。

1.個人向け検査・診断ビジネスはプレーヤーや流通経路が多様である

 個人向け検査・診断は従来の医療用検査・診断とプレーヤーや流通経路が大きく異なります。個人向け検査・診断サービスの提供元はドラッグストアを中心にeコマース企業など多様です。その後の流れについては、検査結果の取得まですべて個人でできる場合、検査のための検体のみを個人が入手し検体を企業の検査ラボに郵送する場合、検体測定室※2などドラッグストアや薬局などの店先で検査を行う場合の3つに大別することができます。それぞれのルートにより、検査実施場所や検査結果の閲覧についての流れやビジネスのための要件が大きく異なります。 
 個人向け検査・診断サービスの新規事業展開の際には、検査項目の臨床的意義や検査キットの特徴、利用者のニーズを正確に把握し、競合製品・サービスとどのように差別化するか入念な検討が必要です。
図1.1

2.米国の市場は急速に拡大、日本市場の成長は期待できるのか

 個人向け検査・診断の市場について、米国では感染症やがん領域を含む多様な個人向け検査薬(一般用検査薬)が販売されており、さらにドラッグストアなどに併設されているConvenient Care Clinics※3が個人向け検査・診断サービスの普及窓口として大きな役割を担っています。米国における個人向け検査薬と受託検査サービスを合わせた2014年度の市場は600億円強に達すると推計されます。
一方、日本では米国と比べて医療制度の違いや個人向け検査・診断に関する規制が厳しい(詳細は後述)という状況があり、市場規模は20~25億円(BBブリッジ推計)と非常に小さいです。一方、2014年には検体測定室のガイドラインの整備や個人向け遺伝子解析サービスへの参入増加があり、今後市場が大きく伸長する可能性があります。但し、個人向け検査薬については規制緩和や革新的な技術の開発が行われない限り大きな伸長は期待できない状況があります。
図2

3.日本が取り組むべきは規制緩和と革新的技術開発

 日本では穿刺血が利用できないなど個人向け検査薬に対する厳しい規制があります。規制緩和はもちろん重要ですが、規制緩和の議論は慎重に行われるため、結論が出るまでには数年の期間が必要です。
個人向け検査・診断ビジネスに参入を検討している日本企業は、日本の厳しい規制も乗り越えられるような革新的な技術開発に対する投資が必要です。例えば穿刺血が利用できなのであれば、唾液や尿などを検体とした超高感度解析技術を利用した検査キットの開発、疾患の状態を明らかにすることができる新規マーカーの開発が必要です。それ以外にも郵送検査の可能性を広げるための常温での検体保存・輸送技術の開発も重要です。厳しい規制を前提とした技術開発を進めることで、欧米企業の製品・サービスと差別化することができます。
 一方、個人向け検査薬として展開する場合にはいずれの検査薬も安価である必要がありため、高感度と安価を両立させる技術開発は非常にハードルが高いです。日本が本当に予防医療・セルフケアを推進するのであれば、国を挙げた技術開発への投資が必要です。
図3

なお、本調査は㈱BBブリッジが作成した技術・市場調査レポート「予防医療・セルフケア時代の個人向け検査/診断ビジネスの最新動向と将来展望(2015年1月23日発刊)」において実施されたものです。詳細についてお知りになりたい方は当該レポート(上記リンク)をご参照ください。

※2017年11月13日追記※
BBブリッジでは本レポートの更新版として、「2018年版 予防医療・セルフケア時代の個人向け検査/診断ビジネスの最新動向と将来展望」を2017年11月に発刊しています。最新情報をお知りになりたい方はこちらをご覧ください。

用語説明

※1 個人向け検査・診断
患者の疾患の状態を調べるために医師が医療機関で行う従来の検査・診断ではなく、健常者が自分の健康状態を調べる目的や体調になんらかの変調がある方が疾患の早期発見を目的に自分自身で行うための検査・診断サービス。

※2 検体測定室
薬局などの店頭で利用者自身が行う自己採血検査について、日本では「検体測定室」としての届け出することで、衛生検査所の登録なしで検査サービスの提供が可能になりました。詳細は厚生労働省が2014年4月9日に発表した「検体測定室に関するガイドライン(厚生労働省医政局長)」によってガイドライン化されています。

※3 Convenient Care Clinics
米国におけるドラッグストアやスーパーなど利便性の高い場所に設置されている簡易クリニックのことで、専門資格を持ったナース(ナースプラクティショナー)や薬剤師によって運営されています。Convenient Care Clinicsでは通常のクリニックのように医師が在中していないため、実施できる医療行為は簡易検査や簡単な処置・ワクチン接種などに限られます。一方、医師を介さないで医療サービスが完結するため、利用者は安価で利便性の高いサービスを受けることができます。

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