抗体医薬品の開発・市場動向について最新の調査結果を発表

2025-09-08  /  プレスリリース

~成長し続ける抗体医薬品の方向性~

調査結果のポイント

  • コンジュゲート抗体(ADC)と多価抗体の開発品が年々増加!!
  • 抗体開発において中国企業の存在感が増している
  • 研究開発は強いが、市場としての魅力が低い日本

 ライフサイエンス・メディカル分野のリサーチ・コンサルティングを専門に行う株式会社BBブリッジ(神奈川県平塚市、代表取締役 番場聖)は、抗体医薬品開発の最新動向や世界の企業の動き、市場の現状や展望、抗体の製造技術や抗体バイオシミラーのビジネス動向について調査・分析を行い、その結果を発表しました。調査結果のポイントは以下の通りです。

1.コンジュゲート抗体(ADC)と多価抗体の開発品が年々増加!!

 抗体医薬品には様々な新技術が使用されています。抗体医薬品に使用されている技術トレンドについて、開発品を対象に分析しました。
 開発品の技術トレンドを見ると、「コンジュゲート抗体(ADC)」や「多価抗体」の比率が年々増加していることがわかりました。例えばコンジュゲート抗体の比率は、上市された抗体では12%ですが、開発中の抗体では24%まで増加しています。多価抗体の比率は、上市された抗体では10%ですが、開発中の抗体では27%まで増加しています。
 現在の抗体医薬品開発では、コンジュゲート抗体もしくは多価抗体いずれかの技術の利用が主流となっており、当面はこの傾向が続くものと考えられます。
 
 

2.抗体開発において中国企業の存在感が増している

 現在開発が進められている抗体医薬品について、国別シェアを調べました。この結果、「日本」は10%、「中国」は8%でした。
 近年の動向として、中国企業による抗体開発が急速に増加しています。中国では2016年~2020年頃に抗体医薬品開発ベンチャーが相次いで設立され、各社が多数の開発パイプラインを保有し、開発を進めています。特にADCや多価抗体など、新たな技術をベースとした抗体開発を展開する企業が多いです。近年では世界大手製薬各社も中国企業と提携し、中国外の開発販売権を取得するケースが増加しています。
 中国企業が開発した抗体医薬品の例として、中国Shanghai Junshi Biosciencesによって創出され、米国Coherus BioSciencesが導入した抗PD-1抗体LOQTORZIは、2023年に米国FDAで承認されました。
 このように中国の抗体医薬品開発は、急速に伸長しています。3年後には日本を抜くことは間違いないと思われます。
 
 

3.研究開発は強いが、市場としての魅力が低い日本

 抗体医薬品は順調に市場拡大しており、医薬品市場においても重要な位置づけを占めています。医薬品は生命を守るために必須であり、各国が国を挙げて開発や事業化を支援しています。
 日本においても多数の抗体医薬品が創出されています。現在、日本企業によって創出された抗体医薬品は10製品です。この10製品の世界売上高を合計すると、世界の抗体医薬品市場の10%を占めています。一方、日本の抗体医薬品市場は、世界市場のわずか3%を占めるに留まっています。さらに日本の抗体医薬品市場シェアは、年々低下しています。
 これは、日本の製薬企業は抗体の開発力があり、市場で十分な存在感を示す製品を多数上市できていますが、日本の医薬品市場そのものは魅力が小さくなっていることを示しています。抗体医薬品市場における日本のシェアが低下している原因は、薬価制度です。例えば市場拡大再算定制度は、売上が大きい医薬品の薬価を優先的に下げることで、医療費の高騰を抑制しています。しかしながら売上が大きいのは、医療現場のニーズに合致しているからであり、特許期間中に薬価を簡単に引き下げるのは、非常に大きな問題です。
 薬価の引き下げは、外資系企業にとって最も大きな関心毎であり、開発国の優先順位を決める重要な要素です。日本でも抗体医薬品開発が欧米に劣らずに展開できるよう、薬価システムの改定が求められます。
 

 
 なお、本調査は㈱BBブリッジが作成した技術・市場調査レポート「2025年版 世界の抗体医薬品開発の方向性とビジネス展望(2025年9月5日発刊)」において実施されたものです。詳細についてお知りになりたい方は、当該レポートをご参照ください。本プレスリリースの内容について、無断利用・転載は禁止します。

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