再生医療・細胞医薬品の製造技術およびビジネス動向について調査結果を発表

2016-10-14  /  プレスリリース

~再生医療・細胞医薬品のための製造技術の方向性は~

調査結果のポイント

  • 細胞製品の製造工程は複雑であり、製造プロセスの開発がカギとなる
  • 細胞製品の製造コストの構造は従来の医薬品とは大きく異なる
  • 細胞製品開発企業と受託製造企業(CMO)の連携が活発化

 ライフサイエンス・メディカル分野のリサーチ・コンサルティングを専門に行う株式会社BBブリッジ(東京都港区、代表取締役 番場聖)では、再生医療・細胞医薬品(併せて細胞製品と記載)のための製造技術について、製造技術の現状や技術開発動向、製造に関するビジネス動向、今後の方向性について調査・分析を行い、その結果を発表しました。調査結果のポイントは以下の通りです。

1.細胞製品の製造工程は複雑であり、製造プロセスの開発がカギとなる

 細胞製品の製造工程について、おおよその流れとポイントを以下に記載しました(下表)。細胞製品の製造工程は従来の低分子やバイオ医薬品と大きく異なります。細胞製品を開発・上市するためには、しっかりとしたプロセス開発が非常に重要です。
 細胞製品の製造工程において、「細胞への処理・培養」工程や、有効性を担保するための「品質管理」工程は、細胞製品によって実施内容が大きく異なるため、各企業の独自のノウハウが必要になります。また、細胞製品では「輸送・保存」工程の開発・確立を行う必要があることが従来の医薬品や医療機器の開発との大きな違いの1つでもあります。
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2.細胞製品の製造コストの構造は従来の医薬品とは大きく異なる

 BBブリッジが収集した各種データを基に、自家細胞(患者由来)を用いた細胞製品が市販された場合のコスト構造を推計しました。自家細胞の場合、他家細胞を利用する時と比べ計画生産ができないオーダーメイド製造になるため、製造コストが総じて高いという特徴があります。
 製造コストには人件費、培養関連製品や製造施設の建設・運営、各種装置類などが含まれますが、細胞製品の場合、特に輸送関連にかかるコストが高い割合を占めます(下図)。これは自家細胞の場合、全国に輸送インフラを用意し、病院⇒製造施設⇒病院への輸送を特別な条件(温度管理など)で行う必要があるからです。輸送コストの低減は細胞製品、特に自家細胞を用いた細胞製品において非常に重要なポイントになります。

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3.細胞製品開発企業と受託製造企業(CMO)の連携が活発化

 細胞製品の製造において、特に自家細胞を用いる場合には国を超えた輸出入が難しく、各国でのローカル展開が必要となります。これは長距離の輸送による細胞への影響や、輸送中の事故などによる製品が届かないリスク、高額な輸送コストなどが課題となるからです。
 一方、クリーンルームなどを備えた専用の製造施設を各地域に設置するには、多大な投資が必要になります。特に臨床試験や上市初期には必要な製品数も多くないので、製造施設の効率的運用という面では大きな課題となります。また、細胞製品の開発主体はベンチャー企業であるため、大量培養や輸送方法、品質管理などのノウハウを必ずしも保有しているというわけではありません。
 このような状況の中でCMO(※1)の活用が積極的に行われています。細胞製品の開発企業は、自国地域は自社の製造施設を活用し、他の地域はCMOを活用するという方法です。もしくは自国地域も含めてすべての地域でCMOを活用するという細胞製品開発企業もあります(下表)。細胞製品の開発企業はCMOを活用することで、自社の製造施設投資への必要性を慎重に見極めながら、臨床試験や製品供給を円滑に進めることができます。
 このように細胞製品の製造においてCMOは需要な役割を担い、今後、細胞製品のCMOビジネスは順調に伸長すると考えられます。実際に日本ではタカラバイオやファーマバイオがすでに事業を進めています。また、PCTと提携した日立化成や、Lonzaと提携したニコン・セル・イノベーションなど新規参入も相次いでいます。日本はiPS細胞をはじめとして優れた細胞加工技術を保有している企業や研究機関が多く、再生医療・細胞医薬品の開発・事業化はもちろん、CMOビジネスの今後の広がりも期待されます。

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 なお、本調査は㈱BBブリッジが作成した技術・市場調査レポート「再生医療・細胞医薬品製造技術の最新動向とビジネス展望(2016年9月30日発刊)」において実施されたものです。詳細についてお知りになりたい方は当該レポートをご参照ください。

 

用語説明

※1 CMO(Contract Manufacturing Organization)
製品や開発品の製造を受託する機関・企業。最近では製造だけでなく、研究開発の一部も併せて受託するCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)という用語も使用されている。

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