【医薬品開発と医療経済評価の方向性】BBブリッジ メールマガジン No.16

2015-07-22  /  メルマガバックナンバー

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   ◆BBブリッジ メールマガジン No.16  2015年7月22日◆
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本メールマガジンは業界の最新動向やセミナー/シンポジウムなどの情報、
新規レポートのご紹介などを目的に月2回程度お送りしております。

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 BBブリッジでは医薬品開発における医療経済評価の現状や展望をまと
めたレポートを7月15日に発刊し、また調査結果の一部をプレスリリース
として発表しました。

【技術・市場調査レポート】
 医療経済評価を取り入れた医薬品開発の最新動向と今後の方向性   
 
【プレスリリース】
 医療経済評価を取り入れた医薬品開発の展望について調査結果を発表 

 現在、医薬品開発において従来のように新薬の有効性(効果・副作用)
を示して承認取得・販売を行うのではなく、医薬品の経済性も示すことが
必要となってきています。換言すると臨床的効果を示せば承認・薬価収載
(保険適用)され、現場での普及活動によって医薬品が売れる時代から、
承認取得後に保険者(もしくは行政)に新薬の費用対効果を明確に示すこ
とで初めて現場で利用される時代になりつつあります。医薬品の費用対効
果を示すことができなければ、当該医薬品の売上は大きな影響を受けるこ
とになります。

 例えばNovoNordiskは同社の持効型溶解インスリンアナログ「Tresiba」
について、ドイツG-KV(疾病金庫中央委員会)との保険償還価格の交渉で
合意に至らず、ドイツ国内でTresiba販売を9月で終了すると2015年7月1日
に発表しています(注:ドイツには保険償還価格が決まるまでの最長1年間
は製薬企業の希望価格によって製品を販売できる制度があります)。
 TresibaはSanofiが販売している持続型インスリンアナログ「Lantus」の
改良型新医薬品(いわゆるゾロ新)で、2012年にEMAで承認されました。
価格交渉が不調に終わったの背景として、Tresibaの持つ追加の付加価値
(Lantusと同等の血糖コントロール作用を持ち、さらに副作用である夜間
低血糖発現頻度がLantusと比べて有意に低い)がドイツ当局に認められな
かったからであると推測されます。
 販売終了により現在Tresibaを利用している約4万人の患者は他のインス
リン製品に順次切り替えることになります。ドイツにおけるTresibaの正確
な販売価格は分かりませんが、日本におけるTresibaの1日薬価である679円
(ペン型製剤)でドイツのTresibaの売上を推計すると年間100億円程度に
なります。NovoNordiskは当局との保険償還価格の交渉不調によって100億円
前後の年間市場を失ったとも考えられます。(但し、NovoNordiskは多くの
インスリン製品を持っていますので、一部の患者はNovoNordiskの他のイン
スリン製品に移行する可能性もあります)

 このように新薬の保険収載・薬価交渉において医療経済評価は非常に重要
なポイントです。特に抗がん剤など高額な医薬品の場合、医療経済評価を積
極的に取り入れている欧州では、当局との保険収載・薬価交渉は承認取得同
様に高いハードルとなっています。
 また高額な治療費用が想定されている再生医療・細胞医療製品に対しても
医療経済評価は必須ですが、比較技術がほとんどない再生医療・細胞医療製
品に対し、どのような医療経済評価を行うべきか、議論が続けられています。

 日本においても2016年診療報酬改定より医療経済評価を試験的に導入する
方向で検討が進められています。重要性が年々が高まっている医療経済評価
ですが、現在は製薬企業内において臨床試験や薬事関連、政策関連部署など
一部の部署で担当されています。今後は創薬企画部門などより開発初期段階
から横断的に医療経済評価の概念や方向性を取り入れ・活用することで、
より円滑に新規医薬品の開発・販売を進めることが望まれます。

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     ◇BBブリッジ発刊 技術・市場レポートのご案内◇
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(1)医療経済評価を取り入れた医薬品開発の最新動向と今後の方向性

(2)バイオ医薬品製造技術の最新動向とビジネス展望

(3)予防医療・セルフケア時代の個人向け検査/診断ビジネスの最新動向と将来展望

(4)世界の遺伝子医薬品開発の現状と将来展望

(5)世界の細胞医薬品開発の現状と将来展望

(6)マイクロバイオームを利用した医薬品・診断技術開発の最新動向と将来展望

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