【CAR-T/TCR療法は第2・第3世代の開発競争へ】BBブリッジ メールマガジン No.22

2015-11-13  /  メルマガバックナンバー

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   ◆BBブリッジ メールマガジン No.22  2015年11月13日◆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 現在作成中のT細胞遺伝子改変療法(CAR-T/TCR療法)レポートのため、
Bostonで開催されている専門会議に参加しています。本会議には
Bluebird bio、Cellectis、Juno Therapeutics、Kite Pharma、Novartis、
GSKなどCAR-T/TCR療法の開発を進める有力ベンチャー・大手製薬の大半が
参加しています。参加者は300名以上、T細胞遺伝子改変療法への注目の高
さを改めて感じさせられます。

 T細胞遺伝子改変療法はがん医療に革新をもたらす技術として欧米の多く
の企業が参入、研究開発が急速に進んでいます。CAR-T/やTCRは既に第2世
代や第3世代の開発に入っています。
 開発の方向性は安全性の向上や、他家細胞の利用による利便性の向上/
低コスト化です。安全性に関して、CARを投与後に無効化・コントロール
する技術が進んでおり、例えばT細胞にCAR-Tだけでなく市販抗体医薬に対
するエピトープも同時に発現させ、CAR-Tの投与後に副作用が生じれば抗体
医薬を投与することでCAR-Tを無効化させる技術などの開発も進んでいます。
 また、キメラ受容体の遺伝子導入はex vivoで行うため、ゲノム編集との
組み合わせとの相性も良く、例えばゲノム編集によってT細胞のTCRをノック
アウトすることで、他家細胞由来でHLAの適合を考慮する必要がないCAR-T
を利用できる研究開発も進んでいます。
 CAR-T/TCRは急速に技術開発が進んでおり、今後、がん治療の主役になる
可能性があります。適用疾患も血液がんから固形がんに広がり、さらに
自己免疫疾患などへの応用も検討されています。また、日本ではCAR-Tへの
注目度が高いですが、欧米ではCAR-Tよりも安全性の高いTCR療法の開発も
多く進んでいます、

 このように期待の高いCAR-T/TCRですが、実用化への課題も多くあります。
例えば製造や知財、コスト(薬価)です。
 製造について、患者由来のT細胞を用いるのであれば、Local展開は通常
の医薬品のようにはできません。開発側はそれぞれの国で適した事業パー
トナーを見つける必要がありますです。これは再生医療等の外部委託に
関する法整備がされた我が国において大きなビジネスチャンスであるとも
考えられます。
 特許についても入念な検討が必要です。例えばCD19を標的としたCAR-T
の開発元であるSt. Jude Children’s Research Hospital(Juno
Therapeuticsが実用化権を取得)とUniversity of Pennsylvania
(Novartisが実用化権を取得)の間では2012年より特許係争が続けられて
いました。係争の詳細は割愛しますが、2015年4月に両社は和解し、
Novartisは和解金として1,250万米ドルをJunoおよびSt. Judeに支払い、
さらに当該製品が上市されればその売上の一部をロイヤルティ(2ケタ台
前半)をとして支払うという内容です。
 CAR-T/TCRの価格(薬価)について、一連の治療で1,000万円を超えるこ
とが確実で、製造工程の標準化や他家細胞の利用などによって低コスト化
も非常に重要です。

 日本のCAR-T/TCR関係の動きとして、国立がんセンター発ベンチャー
ノイルイミューン・バイオテックが2015年4月に設立されています。一方、
欧米のような大手製薬企業の参入はまだ少ない状況です。
 CAR-T/TCRが実際にどのようにがん医療に貢献し、各企業がどのように
研究開発を進めるのか、注目されます。

 今回の専門会議の内容については来週以降当社の公式ブログにアップ
する予定です。また、本レポートは12月発刊予定のため、概要しか記載
しておりませんが、ご興味がある方は以下をご覧ください。

T細胞遺伝子改変療法(CAR-T/TCR)開発の最新動向と将来遠望
 

==================================
     ◇BBブリッジ発刊 技術・市場レポートのご案内◇
==================================

(1)世界の予防用ワクチン・予防薬開発の最新動向と将来展望
 
(2)医療経済評価を取り入れた医薬品開発の最新動向と今後の方向性

(3)バイオ医薬品製造技術の最新動向とビジネス展望

(4)予防医療・セルフケア時代の個人向け検査/診断ビジネスの最新動向と将来展望

(5)世界の遺伝子医薬品開発の現状と将来展望

(6)世界の細胞医薬品開発の現状と将来展望

(7)マイクロバイオームを利用した医薬品・診断技術開発の最新動向と将来展望

¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨
BBブリッジ公式ブログ: http://ameblo.jp/bb-bridge/
【10月26日】1周年記念シンポジウム(テーマ:医療経済評価)を開催しました

お問い合わせ先

株式会社BBブリッジ
〒254-0035
神奈川県平塚市宮の前6-20
クリオ平塚七番館101
E-mail:info@bb-bridge.co.jp

インターネットでのお問い合わせ
お電話でのお問い合わせ

0463-73-6612

電話受付:9:30~17:30(平日)