遺伝子治療・ウイルス療法の最新開発動向について調査結果を発表

2019-09-25  /  プレスリリース

~実用化が進むin vivo遺伝子治療、腫瘍溶解ウイルス療法の展望は~

調査結果のポイント

  • in vivo遺伝子治療は、遺伝性・希少疾患を中心にがん領域、眼領域など多様な疾患に開発が進められている
  • 腫瘍溶解ウイルス療法ではアデノウイルスの利用が中心
  • 医療ニーズの高い疾患に対し、遺伝子治療が続々と実用化!!

 ライフサイエンス・メディカル分野のリサーチ・コンサルティングを専門に行う株式会社BBブリッジ(東京都港区、代表取締役 番場聖)では、近年になり複数の製品が上市され、研究開発が活発になっている遺伝子治療(in vivo)およびウイルス療法(腫瘍溶解ウイルス療法)について、研究開発の最新動向やビジネス動向、製造技術や製剤・投与技術、医療技術としての今後の方向性について調査・分析を行い、その結果を発表しました。調査結果のポイントは以下の通りです。

1.in vivo遺伝子治療は、遺伝性・希少疾患を中心にがん領域、眼領域など多様な疾患に開発が進められている

 今回の調査対象であるin vivo遺伝子治療における開発対象疾患と、BBブリッジが2017年に発刊したレポート「2017年版 世界の細胞医薬品開発の現状と将来展望」におけるex vivo遺伝子治療の調査結果を利用し、in vivo遺伝子治療とex vivo遺伝子治療の対象疾患の比較を行いました。
 その結果、in vivo遺伝子治療は、遺伝性・希少疾患を中心にがん領域、眼領域など多様な疾患に対して開発が進められています。一方、ex vivo遺伝子治療はがん領域おける開発が全体の7割弱を占め、がん領域に開発が集中していることがわかります。
 この結果から、in vivo遺伝子治療はex vivo遺伝子治療に比べ、治療薬としての多様性に富み、今後、様々な疾患の治療に利用される可能性があると考えられます。

2.腫瘍溶解ウイルス療法ではアデノウイルスの利用が中心

 腫瘍溶解ウイルス療法では、ウイルス自身が抗腫瘍効果を発揮するため、どのウイルスを用いるかが、治療薬の特性を決める上で最も重要な要素となります。
 現在、腫瘍溶解ウイルス療法において使用されているウイルスは、「アデノウイルス」が最も多く、全体の45%を占めています。アデノウイルスは遺伝子治療における臨床使用の経験が多く、腫瘍溶解ウイルスとして特性強化した血清型が多数開発されており、遺伝子改変も容易であるため、多くの企業に利用されています。
 この他の利用が多いウイルスとして、「単純ヘルペスウイルス」および「ワクシニアウイルス」があります。これ以外のウイルスでは、「ニューカッスル病ウイルス」、「パルボウイルス」、「ヘルペスウイルス」、「マラバウイルス」、「レオウイルス」、「水疱性口内炎ウイルス」、「麻疹ウイルス」などが一部企業で利用されています。
 腫瘍溶解ウイルス療法の開発では、他の企業が利用していないウイルスを利用することで、そのウイルスが持つ特性(低い病原性、腫瘍への特異性)を活かし、開発品の差別化戦略を進めています。

3.医療ニーズの高い疾患に対し、遺伝子治療が続々と実用化!!

 遺伝子治療による治療が期待される疾患について、2012年に米国遺伝子治療学会(ASGCT)が数年以内の実用化が特に期待できる10の疾患(Target 10)を、米国NIH(米国国立衛生研究所)に提案しています。
 実際に上記の疾患に対する最新の開発状況を調べると、レーバー黒内障、ADA欠損症(ex vivoとして)、悪性黒色腫(腫瘍溶解ウイルス療法として)の3つで既に製品が販売されています。
 さらに血友病(主に血友病B)およびパーキンソン病は、臨床中・後期段階の開発品も多い状況です。これらの疾患はいずれも臨床ニーズが高く、製品化されればブロックバスターとなる可能性は十分にあります。医療技術として遺伝子治療は、有効性を証明する段階は既に終え、今後は広く利用される段階に入りつつあります。ex vivo遺伝子治療も含め、今後、遺伝子治療の利用がどこまで広がるか、注目されます。

 
 なお、本調査は㈱BBブリッジが作成した技術・市場調査レポート「2020年版 世界の遺伝子治療・ウイルス療法の現状と将来展望」(2019年9月25日発刊)において実施されたものです。詳細についてお知りになりたい方は、当該レポートをご参照ください。本レポートでは「in vivo遺伝子治療」および「ウイルス療法(主として腫瘍溶解ウイルス)」を対象としています。従いまして、ヒトから取り出した細胞を加工する「ex vivo遺伝子治療」は対象外としています。
 ex vivo遺伝子治療の開発の最新動向については、当社レポート「2020年版 世界の細胞医薬品開発の現状と将来展望」(2019年12月発刊予定)をご覧ください。

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