ワクチンの開発及び市場について最新の調査結果を発表

2020-07-09  /  プレスリリース

~新型コロナウイルスの発生で必要性が高まるワクチン開発の最新動向~

調査結果のポイント

  • ワクチンには様々な性状があり、それぞれ特長や課題がある
  • 組換えタンパクワクチンがワクチンの中心に
  • ワクチン市場は多様な感染症に対する製品で構成される

 ライフサイエンス・メディカル分野のリサーチ・コンサルティングを専門に行う株式会社BBブリッジ(東京都港区、代表取締役 番場聖)では、世界におけるワクチンの最新開発動向や、市場・ビジネスの概況、各企業の研究開発の動向について調査・分析を行い、その結果を発表しました。調査結果のポイントは以下の通りです。

1.ワクチンには様々な性状があり、それぞれ特長や課題がある

 一言でワクチンと言っても、実際には様々な性状があり、それぞれ製造方法やワクチンとしての特徴・課題が異なります。この概要について以下にまとめました。
 現在のワクチンの中心は、弱毒株を用いた生ワクチン、ウイルスや菌を不活化した不活化ワクチン、ウイルスや菌のタンパクの一部を遺伝子組換え技術によって製造した組換えタンパクワクチンです。しかし、近年ではDNAワクチンやRNAワクチンに注目が集まっています。DNA/RNAワクチンの特長の1つが開発・製造スピードの速さであり、新型コロナウイルスワクチンにおける開発候補の多くは、DNA/RNAワクチンです。
 今後、ワクチンの性状がどのように変化していくのか、技術開発動向も含めて注目されます。

2.組換えタンパクワクチンがワクチンの中心に

 抗原となるタンパク質を組換え技術によって作り出す組換えタンパクワクチンについて、ワクチンの製品や開発品において利用が急増しています。
 組換えタンパクワクチンは、バイオ医薬品の製造と同じ技術を用いるもので、主に大腸菌・酵母・動物細胞を宿主として製造されます。組換えタンパクワクチンの特長として、製造スピードが速く、様々な抗原タンパク質を利用できるなどの点があります。一方、課題は一般的に免疫原生が低く、実用化する際にはアジュバント(※1)が必要になります。
 製品および開発品における組換えタンパクワクチンの比率について、既に製品化されているワクチンでは12%を占めますが、開発中のワクチンでは27%に増加しています。現在開発中のワクチンの性状は、組換えタンパクワクチンが最も多い状況であり、今後、ワクチンの研究開発や新製品の中心は、組換えタンパクワクチンになることが予想されます。

3.ワクチン市場は多様な感染症に対する製品で構成される

 世界のワクチン市場の対象疾患別の比率について分析を行いました。最も売上比率が高いのは「肺炎球菌ワクチン」であり、19%を占めています。これは世界で最も売上の高いワクチンであるPrevnar(Pfizer)が主たる製品です。次いで「混合ワクチン(細菌性)」で、ジフテリア、破傷風、百日咳などの混合ワクチンが含まれます。次いで「インフルエンザワクチン」が16%を占めています。それ以外のワクチンには、HPVワクチン、ロタウイルスワクチン、混合ワクチン(ウイルス性)などが含まれます。
 世界のワクチン市場は2019年に4兆円を超え、年率10%前後の高い成長率で推移、市場も順調に拡大しています。新型コロナウイルスのパンデミックにおいても、ワクチンの重要性は再確認されており、今後も市場が順調に拡大することが期待されます。

 本調査は㈱BBブリッジが作成した技術・市場調査レポート「2020年版 世界のワクチン開発の最新動向とビジネス展望(2020年7月8日発刊)」において実施されたものです。詳細についてお知りになりたい方は、当該レポートをご参照ください。

用語説明
※1 アジュバント  ワクチンによる免疫応答効果の増強を目的に、ワクチンの投与時に一緒に投与される物質の総称です。アルミニウムアジュバントが特に有名です。

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