抗体医薬品の開発・ビジネスの最新動向について調査結果を発表

2022-06-30  /  プレスリリース

~驚異的な成長を続ける抗体医薬品の展望~

調査結果のポイント

  • 抗体医薬品開発・ビジネスは、近年さらに活発化している
  • 開発候補品の性状は、多価抗体などの多様化が進んでいる
  • 市場は「大型製品による寡占市場」⇒「多数の製品で構成される市場」へと変化

 ライフサイエンス・メディカル分野のリサーチ・コンサルティングを専門に行う株式会社BBブリッジ(東京都杉並区、代表取締役 番場聖)では、市場の成長が著しい抗体医薬品について、研究開発の最新動向や世界の開発企業の動き、市場の現状と展望、バイオシミラーや抗体製造技術などについて調査・分析を行い、その結果を発表しました。調査結果のポイントは以下の通りです。
 なお、本レポートにおいてFc融合タンパクは、抗体医薬品として含めておりません。

1.抗体医薬品開発・ビジネスは、近年さらに活発化している

抗体医薬品の開発・ビジネスにおいては、近年、業界の動向がさらに活発になっています。当社の前回レポート(2019年度版抗体医薬品レポート)の発刊時期である2019年初めから、本レポートの発刊である2022年6月までの約3.5年間における主な動きを、以下にまとめました。

2.開発候補品の性状は、多価抗体などの多様化が進んでいる

 抗体医薬品には、一般的なフルボディの抗体(ここでは通常抗体と表記)や、コンジュゲート抗体(ADC抗体)、低分子化抗体、多価抗体、改変抗体など多様な性状が存在します。抗体医薬品に利用されている技術トレンドについて、抗体の性状から分析を行いました。
 上市された抗体と開発品を比較すると、開発品では通常抗体の比率が43%まで低下していいます。これに代わり、コンジュゲート抗体や低分子化抗体の比率が増加しています。特に多価抗体の比率は、6%(上市品)⇒24%(開発品)に増加しています。この理由として、T細胞誘導のためのCD3を標的とした多価抗体(T細胞リダイレクト抗体)の開発が、近年になり急速に増えていることが1つの要因です。
 このように抗体医薬品の開発においては、多様な技術を用いてより複雑な構造を持つ抗体を創出する動きが増加しています。今後、今までにない特徴をもった新規抗体医薬品の製品化が期待されます。


3.市場は「大型製品による寡占市場」⇒「多数の製品で構成される市場」へと変化

 抗体医薬品の市場について、2021年度は世界売上が20兆円を超え、非常に高い成長率を維持しています。抗体医薬品市場を製品別市場構造で分析した結果を、以下に示しました。
 2015年度は売上上位6品目で、全体の64%を占めていました。一方、6年後の2021年度は、売上上位6品目のシェアは全体の37%に留まります。これは抗体医薬品市場が、従来のような少数の大型製品で構成された市場から、多くの製品で構成されている市場へ変化していることを示しています。このような市場の変化は、抗体医薬品の開発・販売が、一部の製薬企業のみ寡占されて行われるのではなく、低分子医薬品のように多数の製薬企業によって行うことができるとも考えられます。実際にここ数年で、抗体医薬品開発に新規参入している製薬企業が相次いでいます(Gilead Sciencesなど)。
 抗体医薬品は、もはや特殊な医薬品ビジネスではなく、低分子医薬品のような一般的な医薬品ビジネスになっていると考えられます。

 
 なお、本調査は㈱BBブリッジが作成した技術・市場調査レポート「2022年版 世界の抗体医薬品開発の方向性とビジネス展望(2022年6月29日発刊)」において実施されたものです。詳細についてお知りになりたい方は、当該レポートをご参照ください。

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