タンパク質医薬品の開発・ビジネスの最新動向について調査結果を発表

2023-05-22  /  プレスリリース

~多様な製品で構成されるタンパク質医薬品の展望~

調査結果のポイント

  • タンパク質医薬品は融合タンパクを中心に開発が進んでいる
  • タンパク質医薬品の対象疾患市場は、多様性に富んでいる
  • タンパク質医薬品の製造宿主は、CHOと大腸菌が主流である

 ライフサイエンス・メディカル分野のリサーチ・コンサルティングを専門に行う株式会社BBブリッジ(東京都杉並区、代表取締役 番場聖)では、ホルモン作用や酵素作用、抗体に類似する作用など、多様な作用機序を持つタンパク質医薬品について、最新の開発動向や市場の現状及び展望、各企業の動向などについて調査・分析を行い、その結果を発表しました。調査結果のポイントは以下の通りです。
 なお、本レポートにおいて抗体医薬品はタンパク質医薬品として含めておりません。

1.タンパク質医薬品は融合タンパクを中心に開発が進んでいる

 タンパク質医薬品にはその特性によって、酵素、成長因子・増殖因子、ホルモン、血液凝固線溶系因子、インターフェロン、サイトカインなど様々な種類に分けることができます。
 現在のタンパク質医薬品の開発品における特性別の比率を見ると、「融合タンパク」が圧倒的に多く、全体の40%を占めています。融合タンパクは血中半減期の向上を目的に、IgG抗体のFc部位を他の薬物に融合させる例が多く、、開発が急増しています。次いで多いのは「サイトカイン」であり17%を占めています。サイトカインはIL-2やIL-10などの開発が進んでおり、免疫に作用するため、免疫チェックポイント阻害剤との併用による、がんを対象とした臨床試験も多く進んでいます。

2.タンパク質医薬品の対象疾患市場は、多様性に富んでいる

 タンパク質医薬品と抗体医薬品について、疾患領域別市場(製品売上高ベース)の分析を行いました。抗体医薬品市場は、「がん領域」と「自己免疫・炎症性疾患領域」の2つで全体の7割以上を占めています。一方、タンパク質医薬品は、「血液疾患」をはじめに「自己免疫・炎症性疾患」、「眼疾患」、「遺伝性・希少疾患」、「内分泌・代謝性疾患」など幅広い疾患領域で利用されていることがわかります。
開発状況をみても、抗体医薬品と異なり、タンパク質医薬品はがん領域に開発が集中しておらず、多様な疾患を対象に開発が進められています。前述の通り、タンパク質医薬品はその特性によって様々な種類があり、この多様性が開発・利用される疾患領域にも大きな影響を与えています。

 

3.タンパク質医薬品の製造宿主は、CHOと大腸菌が主流である

 現在、世界で上市されているタンパク質医薬品の宿主について、その比率を以下に記載しました。最も大きな比率を占めるのは「CHO(チャイニーズハムスターの卵巣細胞)」であり、45%を占めています。CHOは抗体医薬品の製造でも標準の宿主となっており、タンパク質医薬品でも分子量の大きい融合タンパクを中心に幅広く利用されています。次いで多いのは「大腸菌」であり、34%を占めています。大腸菌はタンパク質医薬品の中でも、分子量の比較的小さいサイトカイン、インターフェロン、ホルモンなどで利用されています。
 抗体医薬品と異なり、タンパク質医薬品では様々な種類の宿主が利用されています。具体的には山羊やウサギの乳、鶏、ニンジンが既に上市製品の宿主として実用化されています。
 タンパク質医薬品はその特性によって、分子量や構造も大きく異なるため、多様な製造技術が利用されています。抗体医薬品の製造技術は既に確立されつつあり、製造関連ビジネスは大手企業によって寡占状態になりつつあります。一方、タンパク質医薬品製造関連ビジネスは、市場は細分化されますが、製造関連企業にとっても様々なビジネスチャンスがあると捉えることができます。

 
 なお、本調査は㈱BBブリッジが作成した技術・市場調査レポート「2023年版 世界のタンパク質医薬品開発の方向性とビジネス展望(2023年5月19日発刊)」において実施されたものです。詳細についてお知りになりたい方は、当該レポートをご参照ください。

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