【画期的新薬と医療経済評価】BBブリッジ メールマガジン No.14

2015-06-17  /  メルマガバックナンバー

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◆BBブリッジ メールマガジン No.14  2015年6月17日◆
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本メールマガジンは業界の最新動向やセミナー/シンポジウムなどの情報、
新規レポートのご紹介などを目的に月2回程度お送りしております。

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 現在、当社で作成している技術レポート「医療経済評価を取り入れた医
薬品開発の現状と展望(7月上旬発刊予定)」の取材のために、ノルウェー
オスロの国際医療技術評価学会(HTAi)の年次大会に参加しています。
 医療経済評価は従来のように効果や副作用に基づく評価だけでなく、治
療に必要なコストという指標を加え、費用対効果に基づく評価を行うこと
で、限りある財源をより適切に配分・活用するという考え方です。日本で
も2012年5月に中医協において費用対効果評価専門部会が設置、2016年の
診療報酬改定より医療経済評価を試験的に導入することを視野に議論が
進められています。
 医療経済評価は高額なバイオ医薬品の増加によって注目されていると思
われる方も多いかもしれませんが、実際に医療経済評価に関係があるのは
新薬によって得られるアウトカム(治療による結果=臨床的有用性)とそ
のための費用であり、バイオ医薬品かどうかは関係ありません。高いアウ
トカムが得られるのであれば低分子化合物でも高い薬価(保険償還価格)
を得ることができます。
 この良い例がGilead Sciencesによって開発され、5月に日本でも薬価収
載されたC型肝炎治療薬「ソバルディ」(低分子化合物)です。従来のC型
肝炎の標準治療はインターフェロン+リバビリンでした。インターフェロン
の投与は注射が必要、副作用の管理、効果(投与後のウイルス除去率)
などの点で課題がありました。
 ソバルディは経口投与可能であり、リバビリンとの併用で従来に比べ極め
て高い効果を示す画期的新薬です。その結果、ソバルディの薬価は
6万1,799円/400mgに決まりました。薬価は類似薬効比較方式で算定されて
いますが、画期性加算が適用されるなど比較対象薬剤よりも飛躍的に高い
薬価になっています。
 ソバルディの2014年の世界売上高は100億米ドルを超え、1~2年の内に
低分子医薬品で世界一の製品になる可能性が高いです。Gileadの2014年度
の全売上高は249億米ドル、営業利益率は61%、株価は3年間で4倍になっ
ています。同社は日本国内におけるソバルディのピーク時の売上高を
1,000億円弱と見込んでいます。

 このような高額な薬価がついたソバルディですが、自由薬価の米国では
1,000米ドル以上/400mgとさらに高額で販売されています。また、高額な
医薬品に厳しい姿勢を持つ英国NICE(国立医療技術評価機構 )でもソバ
ルディは推奨(治療歴によって限定された患者に推奨)、約700米ドル/
400mgで保険償還されています。
 ソバルディは価格だけ見ると非常に高額ですが、インターフェロン使用
の際には必要だった注射や初回治療時の入院が不要になること、治癒率の
飛躍的向上によって将来的に期待できる肝炎→肝がんへ進行する患者の減
少など様々なアウトカムが期待できます。このようなアウトカムを総合的
に評価して薬価に反映させる際、医療経済評価は非常に重要な役割を担っ
ています。
 残念ながら今回のソバルディのケースでは日本での薬価決定に医療経済
評価は考慮されていませんが、仮に医療経済評価が取り入れられていれ
ばさらに高い薬価がつく可能性もあります。

 医薬品開発は治療満足度の低いアンメットメディカルニーズを対象とし
た方向にシフトしており、画期的新薬が市場に出た場合にどのように薬価
に反映されるのか、製薬企業にとって非常に重要なポイントです。
 また、高い治療費がかかるがQOLを大きく向上させる可能性がある再生
医療製品にも医療経済評価は非常に重要な役割を担うことが予想されます。
 欧米大手製薬企業の動向を見ると医療経済評価の専門部門の設置や、
医療経済評価を正確に行うため当局と共同で臨床試験を行うなど、当該
分野への動きを拡大させています。
 
 BBブリッジでは医薬品開発における医療経済評価について、各国の動向
や製薬企業の対応動向、今後の展望をレポートにまとめています。
まだ概要しか記載しておりませんがご興味のある方は以下をご覧ください。

【7月上旬予定】医療経済評価を取り入れた医薬品開発の最新動向と今後の方向性
     
 ちなみに今回参加したHTAiの2016年の年次大会は来年5月に東京で開催
予定です。中医協での医療経済評価の試験的導入の行方も含め、来年は医
療経済評価が非常に注目されることになると思います。

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◇BBブリッジ発刊 技術・市場レポートのご案内◇
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(1)医療経済評価を取り入れた医薬品開発の最新動向と今後の方向性

(2)バイオ医薬品製造技術の最新動向とビジネス展望

(3)予防医療・セルフケア時代の個人向け検査/診断ビジネスの最新動向と将来展望

(4)世界の遺伝子医薬品開発の現状と将来展望

(5)世界の細胞医薬品開発の現状と将来展望

(6)マイクロバイオームを利用した医薬品・診断技術開発の最新動向と将来展望

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BBブリッジ公式ブログ:http://ameblo.jp/bb-bridge/
【6月11日】ドラッグリポジショニングの可能性と課題    

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